[ 特別養護老人ホーム しのろ三清荘 ]

施設ブログ

2024.11.01

認知症委員会勉強会

 

 

令和6年 10月17日木曜日 / 10月31日木曜日

 

認知症委員会勉強会を実施いたしました。

 

20分ほどは座学、その後は事例検討をおこないました。

 

本日は勉強会の内容をお伝えします。

 

 

 

 

認知症とは…

・認知機能が低下することにより、日常生活に支障をきたすようになった状態のことです。脳の障害により中核症状(認知機能障害)が生じ、それに付随して行動・心理症状(BPSD)が生じます。認知症を引き起こす主な病気には、①アルツハイマー型認知症②レビー小体型認知症③血管性認知症④前頭側頭型認知症などがあります。

 

①アルツハイマー型認知症とは…

・異常なタンパク質が脳の中に蓄積し、脳の変性や萎縮がゆっくりと進行する疾患です。大脳の萎縮が進むと身体機能も障害されていきます。認知症全体の5割から7割を占めると言われ、男性よりも女性に多いと言われています。意欲の低下、妄想、幻覚、興奮、行動異常などが現れることがあります。

 

②レビー小体型認知症とは…

・異常なたんぱく質の塊が脳の中に現れることで起きると考えられています。パーキンソン症状や幻視を伴い、日や時間により症状の変動が大きいのが特徴です。認知症全体の2割程度を占めると言われ、男性の方が女性の約2倍と言われています。

 

③血管性認知症とは…

・脳梗塞や脳出血などのために、神経の細胞に栄養や酸素がいきわたらなくなり、その部分の神経細胞が壊死することにより生じる疾患です。障害される脳の部位によって症状が多岐にわたるのが特徴です。失語症を呈したり、頭頂葉障害では空間失認、前頭葉障害では抑うつや意欲低下が認められます。

 

④前頭側頭型認知症とは…

・原因不明で、脳の中でも理性を司る「前頭葉」と聴覚や言語の理解を司る「側頭葉」が委縮していきます。我慢や思いやりなどの社会性を失い「周りの人を無視する」行動をとることが特徴です。症状は徐々に進行し、発症後平均6~8年で寝たきりの状態となることが多いです。

 

※中核症状とは…

 脳の神経細胞が壊れることによって直接起こる症状です。記憶障害、判断力障害、実行機能障害、見当識障害、失行・失認・失語などがあります。認知症になれば誰でも中核症状が現れます。

 

※行動・心理症状(BPSD)とは…

 暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、徘徊、弄便などがあります。その人の置かれている環境や人間関係、性格などが絡み合って起きるため、人それぞれ現れ方が異なります。

 

認知症ケアに必要な姿勢…

1 身体と心のケア

2 関係性の重視

3 継続性・専門性の重要性

4 権利擁護の必要性

 

パーソン・センタード・ケア…

・ひとくくりにしない、一人一人をかけがえのない存在としてとらえる。

・「認知症患者」ではなく、完全な人間としてとらえる。

・仲間がいること、ふれあえることが大切。

・居心地の良い場所を作る。

・その人にあったケアを計画、実践する。

 

対応の心得は3つの「ない」…

・認知症の対応で大切なポイントは、①驚かせない②急がせない③自尊心を傷つけない

・認知症の方は、判断する認知機能が低下して動作が遅くなるため、「なんでできないの」「やってあげる」など相手の自尊心を傷つける言葉は控えるのが基本です。気づいた本人が一番大きな不安を感じています。相手に寄り添った対応が求められます。

 

 

 

 

〇  事例検討 ①  〇

 午前10時食事席で過ごされているのを確認し、早番対応するしかいない職員がシーツ交換をしています。すると興奮された入居者様が独歩で追いかけて着いて来られました。「他所からここへ来ている。家の戸締りをしなきゃならないんだけど、どこから2階へ上がるのですか?」と訴えられます。このような不穏な様子や行動が一日に何度もあります。このようなアルツハイマー型認知症の入居者様にたいしてどのような対応をしますか?

A … 

 どこまで接したら良いかさじ加減を把握していく。音楽を聴いたり、塗り絵をするなど本人の意識を良い方法にずらしていく。対応しすぎて興奮させてしまうこともある。本人が落ち着くワードや落ち着かなくなるワードがあることを理解していく。人数が少なくて対応に困ることがあれば事務・医務など他職員に相談することもあり。興奮状態が続いてしまうと、医務ができることは処方薬の調整をおこなうなどの意見がありました。

 

〇 事例検討 ② 〇

 90歳代、要介護5の女性。移動はシルバーカーを使用しています。アルツハイマー型認知症です。夕方、席から不意に立ち上がり歩行器なしで歩かれることがあります。職員より「トイレですか」と声をかけると、「トイレじゃないですよ。〇〇ちゃんを迎えに行かないと…」と話しながら歩きまわられます。職員より座っていただこうと声かけをおこなうもすぐに立ち上がってしまいます。傾聴していると、その後「トイレに行ってもいいけど、学校はどこですか」と発言されます。アルツハイマー型認知症の入居者にたいしてどのような対応をしますか?

A …

 本人の発言を否定せずに傾聴して話しを聞くことが大事です。本人は歩きたいという欲求があるので座り続けることが難しいと考えられます。安全のためにシルバーカーを用意して使えるようにして、寄り添う必要があります。丁寧に説明をすることで本人も安らぎを感じるかもしれません。その人に寄り添った対応が必要だと考えられます。会話ができる利用者に近くに来てもらい相手をしていただくことも方法の一つだと考えられます。また、気が紛れるように家族から差し入れられたおやつやジュースなどを提供してみる方法もあるという意見がありました。

 

 

☆ 今回の勉強会では、「認知症とは何か」という原点に立ち返り復習することで、より理解を深めることができたと思います。BPSD(中核症状と行動心理症状)の関係性を学ぶことができ、利用者様によりよい支援をおこなうことに繋げられたら良いなと感じました。 ☆